『メタ認知で〈学ぶ力〉を高める:認知心理学が解き明かす効果的学習法』です。
効果的に効率よく学ぶにはどうしたらいいか。認知心理学のこれまでの研究が裏打ちする、効果的に学習を行う術を知ることができます。また、タイトルに書いてある「メタ認知」。その説明も例示とともにわかりやすく書いてあり、初心者でも読みやすいです。
教師が悩まされるであろう学習者は「勉強しないといけないのに、学習が進められない人」であったり、「頑張っているのに、学力が伸びない人」ではないでしょうか。一方で、「自律的に学習が進められている人」もいます。そういう人はどうやって学習しているのでしょうか。そういう悩みや疑問の答えになりそうなことも書いてあります。
また、学習方法のアドバイスの引き出しが増やせる内容が盛りだくさんです。
この本にも書いてありますが、そんなに簡単に学習がうまくいくわけではありません(経験からもそれはよくわかります)。「こういうふうにしたらどうですか」とアドバイスすることは簡単です。しかし、学習者がそれをやる意味や意図を理解したり、これはいいな~と思ったりする「実感」が伴わないと、結局、効果は現れません。教師としては、アドバイスするだけでなく、その後の追跡や関わり方まで考慮に入れていかなければならないと思います。
その他、興味を引いた点はいくつもありました。(^o^)読みながら、「あの学習者にはこういう方法で接していくのがよかったのかな」と思ったりもしました。次に出会った人には応用していけそうです。
教師の言動にも注意が必要かもしれないと思ったところがあります。
「学習の成果は自分次第であると考えると学習意欲が高まる」(p.130)という項があります。「よい結果になったのは自分の努力だ」と思うことでやる気もでるというような話です。
教師は「今日のテストは難しかった/簡単だったでしょう?」とついつい聞いてしまいます。これが学習者のやる気を削いでしまうのではないかとここを読んで思いました。
「努力」は内的な要因、「テストの難易度」は外的な要因。「努力の結果だ」と思えれば学習意欲につながります。でも、「テストの難易度」に言及してしまえば、自分に還らない(最悪「テストが悪いんだ」と思わせる)ので意欲につながりません。だから、「簡単なテストです」とか、「難しかったでしょう?」と安易に言うのは、良くないのかな~と思いました。
学習は、その人の内から湧くやる気が伴っていることがベストだと思います。そこをうまく引き出せる教師でありたいものです。(^o^)